【蒲蒲線】地元住民の鉄オタ目線で見る蒲蒲線の懸念点

要らねぇよ(直球

 

…開口一発本音が出てしまいました。Miraiです。

何かと騒がれている蒲蒲線、地元住民の鉄オタによる目線で色々話して行きたいと思います。

※当記事執筆時点では運行形態・編成両数等は未定との事ですが、執筆時点での現状をベースに進めて行きます。

そもそも蒲蒲線とは

1km弱離れているJR・東急蒲田と京急蒲田を結ぶ計画の路線です。

厳密には京急蒲田から先、羽田空港まで京急空港線を使用して乗り入れようとしている路線(計画)です。
空港への乗り入れを想定していることから、「空港線」と呼ばれる事もあります。

東急側は東急多摩川線を経由して、東横線方面に乗り入れる運行形態を想定しています。

※当記事ではかなり大雑把な説明で済ませてますので、細かい説明は大田区のホームページをご覧頂いたほうがいいかと思います

鉄オタ目線で思う懸念点

東横線直通による、東急多摩川線途中駅の利便性悪化

前項でも記載した通り、蒲蒲線東急多摩川線を介して東横線との直通運転を想定しています。

(以下、東急多摩川線は便宜上多摩川線と表記します)

現状の多摩川線は3両編成、更に東横線とは異なる車両長*1での運転になっています。

その上、多摩川線の途中駅はホームの延長が困難な駅が殆どです。

有効長不足の典型例である鵜の木駅
前後に踏切があり、目蒲線時代(18M4両)ですら過去はドアカットで対応していた

多摩川線の抜本的な設備改良*2を行わないのであれば、東横線直通列車は途中駅を全て通過するしかありません。
途中駅からは東横線への直通列車が直接利用できず、従来通り多摩川駅での乗換を強いられることになります。

また多摩川線には途中駅で列車を追い越す設備は存在しない為、東横線直通列車の前後で多摩川線(各駅停車)の運転間隔が開いてしまう可能性があります。

次項の蒲田駅での乗換と合わせて、途中駅では蒲蒲線開業によるメリットを受けづらい状態にあります。

※全くメリットが無い訳でもないです
(以下、途中駅が恩恵を受けれる可能性がある内容)
多摩川線の各駅停車が蒲蒲線に乗り入れる場合、多摩川線各駅から京急線への乗換が便利になる
東横線との乗換駅である多摩川駅において、東横線との乗換を同一ホームで行うことが出来る可能性がある
 但し、こちらにおいても多摩川線ホームを延長することが出来るか怪しい
 (ホーム延長が出来ないと、東横線直通列車が多摩川駅を通過する可能性がある)
 (素人目に見れば前後に比較的余裕があるので、8両編成なら止めること自体は不可能ではなさそうだが…)

東急蒲田駅での乗換利便性の悪化

蒲蒲線が開業すると、多摩川線の蒲田駅は現在の地上から地下に移ることになる見込みです。
大田区HPにあるQ&AのQ15より

www.city.ota.tokyo.jp

蒲蒲線の計画図(大田区HPより引用)
糀谷~大鳥居にそんなスペース無いでしょ…


仮に多摩川線の(ほぼ)全列車がこの地下駅発着になる*3と、地上で接続しているJR京浜東北線及び池上線への乗換時間が増加することになります。

検討結果によると、南改札を拡張して蒲蒲線*4とJR線との乗換を想定した場合は5分20秒程になるようです。

現行の形態であればJR線へは2~3分程で乗換が出来るので、2倍以上時間がかかる計算になります。
池上線への乗換も同じぐらいかかるでしょう。

多摩川線の途中駅からは、前項の通り蒲蒲線開業によるメリットを受けづらい上、蒲田駅で他路線への乗換時間が大幅に増えてしまうことが考えられます。

蒲田でJRに乗り換える人は多いと思うので、新路線開業による乗換時間の増加は大きな問題になると思います。

個人的には蒲蒲線に反対する一番大きい理由はこれです。多摩川線割りと使うし…

京急線に乗り入れる事が困難

蒲蒲線の計画の一つとして京急空港線と直通運転を行い羽田空港に乗り入れる」とありますが、様々な理由で困難です。

根本的な話をすると蒲蒲線側と京急線側で線路の幅が異なります
この問題が解決しないと、蒲蒲線の乗入は物理的に不可能と言っていいでしょう。

フリーゲージトレイン京急空港線三線軌条化して乗り入れることも検討されてますが…

前者のフリーゲージトレインそもそも実用化に至っていないですし、仮に実用化できたとしても軌間変換に5分程度かかると見込まれているので時短効果が薄くなってしまいます。
蒲蒲線の建設メリットが帳消しになるでしょう。

後者の京急空港線三線軌条化整備・維持コスト共にかかりすぎる上京急側がそのコストを負担することに対するメリットが全くありません

よってどちらも現実的では無いです。

更に言うと京急空港線(特に羽田空港第1・第2ターミナル駅)の線路容量*5の問題もあり、乗り入れることはほぼ不可能でしょう。

多分ですが、羽田に乗り入れるなら近隣を走る環状八号線直下にトンネルほったほうが早いです。
絶対作れないだろうけど。

地下駅である大鳥居駅で対面接続できるようにすることも以前検討されていましたが、京急快特大鳥居駅を通過するのでこちらも難しいかと思われます。

 

以上の理由もあり、現状の第一期整備計画では京急蒲田までの計画に留まっております。
しかし京急蒲田での乗換に6分近く要する見込みであるので、本当に時短効果が大きいかは疑問が残ります。

東横線の線路容量問題

ここで乗入れ先である東横線そのものに目を向けてみます。

東急新横浜線が開業したのは記憶に新しいです。
ところが、新横浜線開業時点での東横線ダイヤを見ると横浜線直通列車ですら本数がかなり絞られており、線路容量が逼迫している様子が伺えます。

平日日中時間帯の自由が丘駅下り時刻表
昼間ですら18本/h運転されている(うち、新横浜線直通は2本のみ)

ここに更に蒲蒲線直通列車を入れる、となると素人目に見ても不可能に近いです。

厳密にいえば、(日中であれば)現在の新横浜線直通列車が運転されていない箇所に入れ込むことは可能でしょう。
(上記時刻表の14/44分ぐらい)
ですがその場合は毎時2本・30分間隔が限界であり、これ以上増発するのであれば根本的にダイヤパターンを見直す必要があるでしょう。

羽田空港へのアクセス路線を名乗るのに日中毎時2本。
更には京急蒲田での乗換が必須。本当に必要ですか?

上記の話は現行ダイヤを元にお話をしました。
開業するとしてもまだまだ先の話なので、それまでに東横線のダイヤパターンが変化している可能性は高いです。

しかしながら、現状の各方面への運転本数を確保しつつ、蒲蒲線直通列車を高頻度で運転することはどの時間帯であっても困難でしょう。

東横線が難しいのであれば目黒線に乗り入れ方面を変えるというのも手かもしれません。
(実際に検討初期段階では旧目蒲線との乗り入れが想定されていたようです)

しかしながら、この場合は大半の区間京急線との競合関係になってしまう*6ので現実味は薄いでしょう。

他にも東横線車両の車両収容場所不足や、田園調布駅の配線問題*7、ダイヤ乱れ時の対応方法などもあり、問題は山積みかと思われます。

 

以上、鉄オタ目線からの蒲蒲線に対する懸念点をお送りしました。
多分まだあるとは思います。

 

一住民としての意見

一住民としては本当に必要ないと思ってます。
何より地元にメリットがなさ過ぎる。

同じ用地に地下道作って動く歩道でも整備してくれればそれでいいです。

仮に東横線直通が出来たとしても、地下蒲田駅への乗り換え時間で帳消しになる上に渋谷までならJRの方が楽になってしまったので恐らく使わないでしょう。

自由が丘あたりからは便利になりそうですがそもそもあそこは大田区じゃないし…

 

 

タチが悪いのはここまで上げた懸念点を隠して建設を推し進めようとしていることだと思ってます
そりゃ推進派が多いのも頷けますよえぇ…

*1:東横線は20M級車両、東急多摩川線(池上線)は18M級車両

*2:高架化や地下化

*3:多摩川線の車両規格が変わらない場合、池上線への入出庫列車は地上駅発着で残ることになると思う

*4:多摩川線含む

*5:運転本数

*6:現状でも三田線三田~蒲田間で浅草線京急線と競合、南北線の品川延伸が完成してしまうとこちらとも競合してしまう。前項の理由で蒲蒲線は羽田まで乗換なしでは行けないので乗り入れる意味がない

*7:目黒線からしか分岐していない。しかしこれは少し手を加えればなんとかなる範囲